HEALTHCARE SECRET

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久山町の悲劇って知っていますか? 「規則正しい健康的な日本食」の現実 医師、管理栄養士の栄養指導の果てに、、、

ドクター江部の糖尿病徒然日記 NHK「アルツハイマー病をくい止めろ!」の真実は?久山町の悲劇。

 

久山町でなぜ糖尿病が増えているのか?|低糖質ダイエットは危険なのか?中年おやじドクターの実践検証結果報告

 

久山町というのは福岡県の町で、この町の40歳以上の住民の方々の協力を得て、九州大学による、住民の健康状態を長期間追跡調査をすることによって疫学研究が行われています。

 

疫学研究というと難しいのですが、要するに、ある仮説を検証するための研究ではなく、長期間、先入観持たずにデータを集めて、そのデータを分析してみたら、ある傾向が浮かび上がってきました、というタイプの研究です。

 

たとえば、健康な人がある病気になった時に、長期間データを取っていると、健康な人がその病気にかかった要因となるものが、後から、結果的に、わかってくる、というようなものです。

この研究は、50年くらい行われている中で、現在は、住民の方々の遺伝子検査の協力も得ているようで、本当に、世界に誇れる、すごいものだと思います。

そうした、非常に強力的な住民の方々がおられる中で、日常的な食事や、健康指導なども行われているようで、住民の方々はとても、協力的に(素直に)その指導に従っているようだとのことです。

 

問題は、その指導内容で、指導の通り、いわゆる典型的な日本食(主食であるごはんを60%、あとはおかずや汁物等バランスよく。1600キロカロリー程度)を正しく召し上がっていた方の、糖尿病比率が全国比率よりも高くなってしまった、という現実が発生してしまいました。

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これに対して、深くかかわっていらっしゃった九大の先生は、

・糖尿病比率が高くなったのは、久山町の住民の方々が健康診断を受ける比率が高かったので、結果的に糖尿病とわかった方が多いだけ

・日本人全体の糖尿病比率が上がっている中で、その傾向はかわらない

久山町の方々は、むしろ炭水化物の摂取比率は平均的な日本人より少なく、糖尿病比率の高さと炭水化物の因果関係はない

と言われているようですが、、、

 

細かい学問的な論争はさておき、近年アルツハイマーと糖尿病の因果関係が明らかになる中で(アルツハイマーの出現率も、久山町は高いようですね)、少なくとも、糖質の摂取と、生活習慣病の関係については、より真剣に考えなければならない中、

 

依然として多くの医師や管理栄養士が、白米をメインとする食事の構成を基本と考えていること、

 

1日3食規則正しくバランスよく、、、という言葉が力強く生きていること。

 

そのために、我々も、なんだか、1日3食食べないと、あるいは、ご飯やパンを食べないと、悪いことをしているような感覚になり、

 

結果的に、炭水化物を摂取しないと、十分な食事をとっていないのではないか→思い込みによる空腹感、に苛まされるているのではないか、

 

と考えます。

 

で、その九大の先生は、アルツハイマーの増加は、米食ではなく、食の欧風化による、肉や脂肪分のとりすぎによるものだと、おっしゃっているようですが、、、

 

実際は、コレステロール値の増加は、心臓や血管疾患へ与える影響がそれほどは多くないのではないか、

ある種の脂分は、脳の神経細胞を守る働きがあり、アルツハイマー病の予防につながる、というような研究が次々出てきているのです。

 

もちろん、何か一つの考え方が絶対的に正しい、ということはあり得ませんし、物事は多様な背景の積み重ねによって起こってくるものですが、

 

食事法や、栄養摂取の構成について、ダイエットだけではなく、健康法としても新しい考え方が多く生じている中、

 

以前として多くの医師や栄養士が、

カロリー計算にこだわり、

1日3食、規則正しく、炭水化物中心の食事、というものを強く主張し、

 

食事、睡眠、運動、を正しく行ってください、

 

と同じことを繰り返し述べています。

 

新しい考え方について謙虚に受け止め、研究し、さらに新しい考え方を生み出すような発想は持てないのでしょうか?

 

従来の考え方と異なるデータが出てきても、あくまで古典的な考えにこだわるのであれば、それはちょっと罪深いな、と感じます。

 

新しいダイエット理論の核は、野菜多目、低糖質、と、身体によい油の摂取、です。これが糖尿病やアルツハイマー病などの生活習慣病や、

がんの予防にもつながる基本的な概念で、それをいかに、現代人の生活の中で、現実的に可能なソリューションとして提案する時代になっているのです。

 

懇意にしている腎臓内科の医師は、日本人は、透析をやる患者が減少傾向になっていくであろう、と

それはその前段階の原因の一つである糖尿病が、いずれ減っていくだろうからと。

なぜならば、食事の考え方や低糖質よりになり、いわゆるトクホのお茶などが、普及していくことで、血糖コントロールが進んでいくであろうから、とのことでした。

 

 事実、透析クリニックは、競争の時代になってきて、患者の奪い合いになっているのだそうです。

 

消費者が健康志向になっていて、自分の頭で考えるようにも、なっているのでしょうね。