川島なお美さんが、遺著で「がん放置療法」を告発! その3
M先生のがん放置療法を考えるうえで、大きなポイントが2つあります。
1.がんを外科手術や抗がん剤で治療した場合と、がんをそのままにして放置した場合でどちらが有効なのか、同一人物では、データ検証しようがない。
2.身体にメスを入れる手術や、副作用に強い抗がん剤を使えば、体力も落ちるし、そのことにより、寿命を短くしてしまうことは現実としてある
1.のポイントは、がん放置療法の、奇襲ポイントです。手術をして、がんを取り除いた、その後、抗がん剤治療をして、再発を防ぐ、という標準的ながん治療を行い、数年間再発がない(これを寛解、かんかい、と言います)としても、治療をしなくても、同じ結果が得られた、と主張されてしまうのです。そして、外科医の功名心、製薬会社の抗がん剤治療の陰謀、でやらなくてすむ治療をされている、と。すごいパラドックスですよね。
また、2.では、手術(や抗がん剤治療)をすると身体的ダメージで基礎的体力が落ちてしまう、がんを手術するとがん細胞が飛び散って、放置してしまえばおとなしくしているのに転移してしまう、ということを言っています。(体力、免疫力(抵抗力)が落ちれば、がんではなく、感染症で死ぬこともあります。)
それを、ご自身の経験から、語っているのです。
抗がん剤治療への批判は、辛辣です。
製薬会社の金儲けの謀略で、抗がん剤の効果を証明する論文には嘘があり、実際には、治療上の効果が期待できず、副作用で身体には毒、医療界と製薬業界がグルになって、患者を苦しめている、というのです。
そして、外科手術や、抗がん剤治療といった、既存の標準治療は死期を早める、がんは治療しない方が、長生きできる、だから、がんを発見しても仕方ないから、がんの検診すら必要ないとのことです。医療業界の圧倒的多数と、まさに、逆の立場であり、その論陣を張ったがゆえに、講師まで最短で昇進した慶應のエリート医師が、その後は完全に干され、万年講師で定年を迎えることになったわけです。しかし、その強烈な医療業界に対するアンチテーゼは、画期的ですし、反骨、気骨の人、真に患者のことを考える医師、という切り口が、圧倒的なマーケティングポジション(唯一無二性)を与え、文芸春秋がバックについた過去の書籍の売り上げは凄く、M医師が開業したセカンドオピニオン外来は大盛況のようです。
私はM医師を学生時代から知る医師に、聞いたことがありますが、優秀は優秀だった、論文ばかり読んでいた、とのことでした。過去の論文の矛盾点に強いのもそのせいかもしれませんね。
マーケティングポジションの唯一無二性ゆえ、川島なお美さんの治療へも影響を与えたM医師の理論ですが、上の、1と2の点に尽きると思っています。その上で、真実をズバリつきますと、
治療した場合としなかった場合を比較して、同一個人ではどちらが良かったか、検証できない、という理由で、治療をしなくても良い、というのは、ナンセンス。一方、がんの治療で体力を落とし、それが理由で死期が早まるケースがあるというのは、確かだということです。
・がんと言われて、治療しなくて良いと言われて、普通、納得できますか?治療をやってもやらなくても同じかもしれなかったら、治療はやっておいたほうが良いです
・かといって、あまりにハードな治療をやれば、それが原因の一つとなって、死ぬこともあります
私も、末期がんと言われた現実を受け入れることができず、完治をめざし、抗がん剤治療をさまざまに試したものの、薬の副作用がきつく、体調が悪化し、亡くなった患者さんを見ています。
患者本人は、完治をめざし、死の可能性を想定していなかったので、現在の治療で、効果がでないとなると、次々と新しい治療を試していきました。完治を目指す以上、他にやり方がなかったのかとは思います。副作用の強い薬により、体力が低下していったのを周りもわかっていましたが、患者本人が、現実を受け入れられない以上、治療を中止するという選択はできなかったと思います。
川島なお美さんは、女優という仕事をやり続けるということを第一優先に、治療法を選択したのですが、完治と仕事の両立を狙う中で、最終的には、腹腔鏡のオペを、選択、術後再発しました。仕事のために、最後まで、抗がん剤をやらなかったのですが、これはご自身の一つの判断だと思います。ある意味、生き方を全うされたわけですので、それについて、医師の責任問題を云々を問うことはできないと思います。
昨日ニュースになりました竹田圭吾さんの死去の報、私はこの人の生き方と最後までメディア出演を続けられたこと、メディア側の出演を受け入れたことも含めて、すい臓がんという治癒率のきわめて高いがんとの向き合う姿勢に、非常に感銘を受けました。医師や家族、周囲とのコミュニケーションを最後まで、孤独感にも苛まされながらも、良好に取り続けられたのだと思います。がんというのは、発病しても即死するものではないので、向かい合って、最後までどう生きるかを決めることで、周りも、支えやすくなります。
M医師のがん放置療法については、既存の医療業界へのアンチの切り口とマーケティングポジションが良いので、出版社もメディアも、受けるからと思ってメディアプロモーションしているわけで、露出が多いから、がん治療の奇跡を起こす、逆転の切り札のような存在に思わないことが大事です。この人はこれで儲けているんだな、と冷静に見ておかなければなりません。
がん放置療法は、その医療業界へのアンチテーゼそのものは、参考意見にはなります。しかし、このノリを持ちこんで一般的な医療機関に行けば、面倒な患者扱いされるのは必至です。がんであることを受容するのは難しいですが、受容し、多様な情報を参照しながら、最後は自分で自分の生き方を決めれば、それに応える医療と、人生を手に入れることができるのではないかと思います。
川島なお美さんが、遺著で「がん放置療法」を告発! その2
川島なお美さんは、M医師の何を告発したのでしょうか?
1.がん放置療法を広く喧伝し、外科手術や抗がん剤治療は体に毒。がんもどきであっても、転移する本物のがんであっても、がんは放置するほうが長生きする、という主張は、信じてはいけない
2.その理論に影響を受けて、適切な治療を受けるタイミングを逃してしまうような人が増える可能性がある。
このことを多くの人に伝えたいということです。
川島なお美さん自身のケースでは、M医師は、「手術しない、抗がん剤治療の否定は正しい」としながらも、肝内胆管がんは、2~3年間は放置療法で元気に生きられるが、いずれ肝臓機能が悪化して死ぬだろう、手術をしても生存率は低い、と冷酷に宣告しました。川島さんが期待していた、「大丈夫、がんもどきです」という言葉はありませんでした。ただ、続いて、ラジオ派(でがんを焼く)治療なら奏功する可能性あり、一度、ラジオ派でがんを焼き切って、様子を見る治療を提案され、光を見た思いがし、M医師とは握手をして、わかれたそうです。そして、すでに、ラジオ派治療の権威とのセカンドオピニオンの予約を取っていたことから、「不幸中の幸い」「私にはそういうことが多い」と喜んだが、実際には、そのラジオ派治療の権威から、胆管がんへの治療効果を否定され、固まってしまった、と。
M医師については、川島なお美さんのご存命中にも、すでに、数多くの医師による批判的なコメントも寄せられていますし、M医師の理論に出会わず、がん発見早期段階で、適切な治療を行っていれば、もっと長生きできたのではないかと、川島さんの無念さがあると思います。
ネット等で情報発信している医師のコメントを見ると、早期に、適切な治療(開腹しての外科手術)を受ければ、5年生存率が、ステージ1~3の段階で、50-100%であった、というように読める記述があります。
実際のところ、胆管がんは治療が難しいがんなのでしょうか?
私が参照した医師の見解では、川島さんはがん発見段階では早期であったので、開腹手術をすれば70%-100%の可能性で、5年は生きられた、ということでした。
また「早期に開腹手術をせずに、(実験的な)腹腔鏡手術をしたことにより、かえって病状が悪化したのでは?(術後早期に再発して、腹膜転移をおこしているのは、このせいである)」というコメントも見られます。
M医師が、「このがんは生存率が低く、いずれ死んじゃうよ」と冷酷に言い放ったとは、正義の味方として、患者の側に立つM医師の発言としては、驚きでしたが、実際問題、治りにくいがん種であることは間違いありません。ほかのデータでは、5年生存率は10-40%というのもあり、早期に開腹手術をしていればよかったのでは、という指摘が妥当かどうかは疑わしいです。私も、がん治療を長年経験しているベテラン外科医に聞いてみましたが、「がん発見直後に、早期に手術をしたからといって、結果治ったかと言えば、わからない」というコメントでした。
川島さんのケースにおいて、重要なのは、がん発見初期段階での、患者さんの受け止め方、考え方だと思います。
川島さんは、女優なので、仕事に影響が出る手術や、副作用の強い抗がん剤治療はしたくないという気持ちがあった。ゆえに、M医師の理論が魅力的に見えてしまっていたのです。
そのような状況下で、川島なお美さんが最初に相談した医師は、「とにかく開腹手術」とよく業界で言われる、「外科医の切りましょう、切りましょう」パターンで、川島さんを失望させ、これが医師不信のきっかけとなったのです。
この医師不信とM医師の理論により、開腹手術が遅れたことを後で後悔されているような気がします。M医師のがん放置療法の根源は、外科医の功名心と、抗がん剤治療メーカーの金儲けの謀略への不信です。川島さんも根底から医療業界に不信を抱いたのかもしれません。
多くの現場の医師は、そのような悪意では、仕事をしていないです。患者さんの気持ちに全面的に適合し、標準的な治療以外に、選択肢を提示するリスクもとれない、余裕もないが現実です。
医師の本音は、とにかく、悪化しないようにすぐ手術したほうが、良い、オペ室も患者が多くて、予約一杯なんだから、早く決めてよ、という感じでしょうね。ぐちゃぐちゃ言うな、と。
川島なお美さんとしては、女優としての仕事もあるし、手術はしたくない、とにかく手術と言われたら、反発しますよね。そして、いろいろな可能性を求めていく、、、
私も、業界人として、こうしたケースは多々見てきました。普通のことを言っていのだが、患者のニーズにマッチしないことを言う医師が悪魔に見え、(背後に悪魔を忍ばせている)功名心を追求し新しい治療法にトライしようする医師や、あり得ない治療実績を誇示して、患者を集める金儲け主義の医師のいうことが耳障りよく、瞬間、天使に見えてしまうのです。
肝内胆管がんが2センチ未満の段階で、まだサイズが小さかったので、開腹オペをしていたら、治っていたかもというと想像してみても、患者さん自身が、女優の仕事もあり、それを望んでいない。がんの治癒と、仕事との両立を、かなえる、どちらかというと仕事を優先する、それが患者さんの判断です。M医師の理論が影響を与えたのは、そういう理論を聞きたいという患者さんのニーズがあったから。
前提がそこにある以上、その患者さんのニーズをかなえることが是であり、それをかなえない意見・治療法は、全て否になってしまいます。患者さんに都合の良いこと以外は、患者さんの耳に入らなくなります。
がんのサイズが進行した後、腹腔鏡のオペをしたことについては、その瞬間は、その担当医が、生涯、心の底から信頼できる医師に見え、患者さんが判断してその治療を選択したのです。
腹腔鏡を使った手術は、群馬大学での死亡事故などで話題になっていますが、転移の可能性の小さい、スモールサイズのがんに対して、おなかを大きく切らなくてもよいことから、身体へのダメージがやさしい治療です。一方、がんが大きかったり、転移している場合には、がんを手術で取りきれない可能性があります。実際に、川島さんのがんもすぐに再発しています。
ズバリ、川島さんの場合は、①発見時点で早期に回復手術をしてしまう(標準治療をしてしまう)か、仕事を優先して、②手術は一切しない、のどちらかを選択するしかなかったと思います。
①の場合、がんが治る可能性は、若干ありますが、仕事には、甚大な影響が出る。
②であれば、2~3年は元気でいられるけど、いずれは、体調が悪化し、死ぬ
がんを完治させ、仕事にも影響を与えない、患者さんのニーズをかなえることは、できません。しかし、現実を直視し、考えられる中で一番ワーストの可能性を想起し、そこからプラスを積み上げて、最終的にベストを追求していくことが大事だったと思います。こうした発想を持てる人は、医療関係者も、精いっぱい、応援したいと思うものです。当初の想定よりも長生きしているがんの患者さんはこうした方が多いのです。
極端な理論や、魔法のような治療法は、それを提唱している人の功名心や、利益のために行われていると見て、(どんなに耳触りの良いことを言われても)それに傾倒することは、避けるべきだと思います。
川島なお美さんは、最初の担当医の手術至上主義的姿勢も、M医師のような放置療法の考え方も、許しがたいという風に考えていらっしゃったようですが、患者さん自身による前提の置き方、マインドセットをどうするかということが大事です。
最終的には一人一人の人生ですが、長生きを求めるなら、どうするかということです。
その観点から、放置療法、を次回考えてみたいと思います。
川島なお美さんが、遺著で「がん放置療法」を告発! その1
川島なお美さんが、
遺著で、がん放置療法を告発しました!
年末のテレビ番組でも、取り上げられたようです。
遺著「カーテンコール」の中で、「がん放置療法」を提唱する、M医師のことを告発しています。
端的に言えば、外科手術、抗がん剤治療にネガティブなM医師の著作を読み、セカンドオピニオン外来を受診したことで、間違った治療の道を、歩むことになってしまい、結果、寿命を大きく損ねた、ということです。
こうした展開のなか、医師による、意見の発表も続々。
これを予見してか、告発された、M医師も、幻冬舎から、「がん治療の95%は間違い」という本を、先んじてすでに発表していますね。
この本で、M医師は、実名での患者の個人情報の公開は、本来あってはならないことだが、芸能人の病気については、その社会的インパクトが大きいため、あえて、その経緯を、公開し、誤った情報に患者が惑わされないようにする、というコンセプトで、川島なお美さんの経緯と、北斗晶さんのことについても言及しています。
M医師の本を購入してしまうと、M医師が儲かってしまうので、本は、購入しない。しかし、本屋で立ち読みをするという人が、特に、がん治療に携わる医師に多いのです(笑)。しかし、読んで見ないことには何もわかりませんので、私はきちんと購入して読んでいます。
このM医師の主張は、
・がんには放っておいても問題ないものと、何をしても治らないものがある
・通常、がんが大きくなるには十年以上かかるので、現状、転移がないがんであれば、そのがんは治療する必要がない。(このがんをM医師は、「がんもどき」と命名しています)
・何をしても治らないがん(転移するがん、これを「本当のがん」、と命名)は何をしても治らないので、無駄な治療(抗がん剤等の毒性の強い薬の使用)をすることによって、かえって、寿命を縮める
・また、「がんもどき」の治療をすることは、手術で体を痛めつけ、かえって、そのがん細胞が手術の傷跡などに入り込み、悪性化(再発、転移)するリスクがある。だから、治療してはいけない
・がん検診は、治療する必要のない「がんもどき」を見つけてしまい、「早期発見早期治療」と称して治療してしまうきっかけとなる。また、何をしても治らない本当のがんに対しても無駄な治療をしてきっかけともなるので、とにかく、無駄である
・がん治療は、手術実績を上げたい外科医や、抗がん剤を売りたい製薬会社の陰謀により、間違った医療が行われており、患者のことを考えて行われていない
とのことです。ご自身の出身である放射線科の放射線治療領域については、若干ひいき目な論調が目立ちますが、外科手術、抗がん剤治療、免疫療法などの代替医療については、徹底的に叩いています。文芸春秋がメインでバックアップし、非常に強い発信力、最近ではテレビ、雑誌、漫画の主人公にもなっているほどです。
このM医師は、セカンドオピニオンという立場で、患者の主治医ではなく、参考意見を述べる立場にあります。ずっとその患者さんへの治療をフォローすることはしません。自由に意見を言えるわけです。
このM医師に対しては、医療業界からの激しい批判がありますが、業界関係者の本音では、
・部分的に、正しいことを言っているところもある
・古い論文(古いデータ)を、自分の都合の良いところだけ、つまみ食いして使っている。新しい理論は勉強していない
・もともとは、非常に優秀な人(慶應病院で同期トップになったエリート)だったが、自分自身を医者として差別化するために、こうした論陣を張るに至った(要するに、既存の外科医や、腫瘍内科(抗がん剤治療)を敵にまわす極端な論法を取ることで、目立つ)と本人も認めたことがあるらしい
・著作や、単独出演のテレビなどでの舌鋒は鋭いし攻撃的だが、面と向かって、直接、別の医師から反撃を受けると、脆い
・自分の患者が、M医師のところに相談に行き(自分を離れて)、ボロボロに症状が悪化して、戻ってきた
・結局のところ、患者の面倒は最後まで見ない
というようなものです。
川島なお美さんは、M医師の何を告発したのか?
次に書きたいと思います。
久山町の悲劇って知っていますか? 「規則正しい健康的な日本食」の現実 医師、管理栄養士の栄養指導の果てに、、、
ドクター江部の糖尿病徒然日記 NHK「アルツハイマー病をくい止めろ!」の真実は?久山町の悲劇。
久山町でなぜ糖尿病が増えているのか?|低糖質ダイエットは危険なのか?中年おやじドクターの実践検証結果報告
久山町というのは福岡県の町で、この町の40歳以上の住民の方々の協力を得て、九州大学による、住民の健康状態を長期間追跡調査をすることによって疫学研究が行われています。
疫学研究というと難しいのですが、要するに、ある仮説を検証するための研究ではなく、長期間、先入観持たずにデータを集めて、そのデータを分析してみたら、ある傾向が浮かび上がってきました、というタイプの研究です。
たとえば、健康な人がある病気になった時に、長期間データを取っていると、健康な人がその病気にかかった要因となるものが、後から、結果的に、わかってくる、というようなものです。
この研究は、50年くらい行われている中で、現在は、住民の方々の遺伝子検査の協力も得ているようで、本当に、世界に誇れる、すごいものだと思います。
そうした、非常に強力的な住民の方々がおられる中で、日常的な食事や、健康指導なども行われているようで、住民の方々はとても、協力的に(素直に)その指導に従っているようだとのことです。
問題は、その指導内容で、指導の通り、いわゆる典型的な日本食(主食であるごはんを60%、あとはおかずや汁物等バランスよく。1600キロカロリー程度)を正しく召し上がっていた方の、糖尿病比率が全国比率よりも高くなってしまった、という現実が発生してしまいました。
これに対して、深くかかわっていらっしゃった九大の先生は、
・糖尿病比率が高くなったのは、久山町の住民の方々が健康診断を受ける比率が高かったので、結果的に糖尿病とわかった方が多いだけ
・日本人全体の糖尿病比率が上がっている中で、その傾向はかわらない
・久山町の方々は、むしろ炭水化物の摂取比率は平均的な日本人より少なく、糖尿病比率の高さと炭水化物の因果関係はない
と言われているようですが、、、
細かい学問的な論争はさておき、近年アルツハイマーと糖尿病の因果関係が明らかになる中で(アルツハイマーの出現率も、久山町は高いようですね)、少なくとも、糖質の摂取と、生活習慣病の関係については、より真剣に考えなければならない中、
依然として多くの医師や管理栄養士が、白米をメインとする食事の構成を基本と考えていること、
1日3食規則正しくバランスよく、、、という言葉が力強く生きていること。
そのために、我々も、なんだか、1日3食食べないと、あるいは、ご飯やパンを食べないと、悪いことをしているような感覚になり、
結果的に、炭水化物を摂取しないと、十分な食事をとっていないのではないか→思い込みによる空腹感、に苛まされるているのではないか、
と考えます。
で、その九大の先生は、アルツハイマーの増加は、米食ではなく、食の欧風化による、肉や脂肪分のとりすぎによるものだと、おっしゃっているようですが、、、
実際は、コレステロール値の増加は、心臓や血管疾患へ与える影響がそれほどは多くないのではないか、
ある種の脂分は、脳の神経細胞を守る働きがあり、アルツハイマー病の予防につながる、というような研究が次々出てきているのです。
もちろん、何か一つの考え方が絶対的に正しい、ということはあり得ませんし、物事は多様な背景の積み重ねによって起こってくるものですが、
食事法や、栄養摂取の構成について、ダイエットだけではなく、健康法としても新しい考え方が多く生じている中、
以前として多くの医師や栄養士が、
カロリー計算にこだわり、
1日3食、規則正しく、炭水化物中心の食事、というものを強く主張し、
食事、睡眠、運動、を正しく行ってください、
と同じことを繰り返し述べています。
新しい考え方について謙虚に受け止め、研究し、さらに新しい考え方を生み出すような発想は持てないのでしょうか?
従来の考え方と異なるデータが出てきても、あくまで古典的な考えにこだわるのであれば、それはちょっと罪深いな、と感じます。
新しいダイエット理論の核は、野菜多目、低糖質、と、身体によい油の摂取、です。これが糖尿病やアルツハイマー病などの生活習慣病や、
がんの予防にもつながる基本的な概念で、それをいかに、現代人の生活の中で、現実的に可能なソリューションとして提案する時代になっているのです。
懇意にしている腎臓内科の医師は、日本人は、透析をやる患者が減少傾向になっていくであろう、と
それはその前段階の原因の一つである糖尿病が、いずれ減っていくだろうからと。
なぜならば、食事の考え方や低糖質よりになり、いわゆるトクホのお茶などが、普及していくことで、血糖コントロールが進んでいくであろうから、とのことでした。
事実、透析クリニックは、競争の時代になってきて、患者の奪い合いになっているのだそうです。
消費者が健康志向になっていて、自分の頭で考えるようにも、なっているのでしょうね。
朝食取らないなら昼食/夕食はどうなる?
朝食を抜いて、午後1時のプレゼンの前に高血糖の食事をして体調が悪化したという話をしましたが、
結局のところ昼食のあり方と言うのも大きなポイントです。
朝食を抜くことを否定する論拠に、空腹の反動で昼を食べすぎてしまう。
ということがあります。
「できる男は超小食」「シリコンバレー式」に共通するのが、固形物摂取を前日夕食から16時間くらいあけた方が良いということ。
「超小食」では、一日1食とは言いながら、2食までは許容しています。しかし、16時間あけたうえで、昼も少量であることを説いています。
私が理想のランチとして推奨するのが、
・サラダ
・焼き魚
・納豆
・味噌汁
・ごはん少量
のようなランチです。良く、野菜3 タンパク質2 炭水化物1 と言いますが、
このバランスで、昼と、夜、やってみますと、体重はみるみる減少していきます。
さらには、この食事のリズムに慣れてくるにつれ、次第に、朝、腹も減らなくなってくるのです。
このメニュー、典型的な日本の和食(よくゴルフ場など朝のメニューにある「和定食」)ですね。要するに理想的とされる朝食を昼に持ってくるということなのです。
ただし、この食事のポイントは、ご飯の量は少なめに、ということです。ゴルフ場の和定食並みにご飯を食べてはいけません。かつ、野菜の量は多目にということです。
すなわち、前の晩から朝食を抜き、相当長い時間食事をしていない、空腹状態で迎えたとしても、そこで、ご飯をがっついてはいけないということなのです。
実際のところ、野菜を一番先に食べ、味噌汁、魚などの順に食べていけば、ごはんは少量でも、問題ありません。お腹が満たされないと言うことはありません。
我々は、一日3食規則正しく、バランスよく、という幻影におびえ、どうしても、毎食、主食である白米や、パンなどを「食べなければいけない」と考えてしまいがちですし、ご飯を食べないとお腹が満たされない、という感覚を持ってしまいます。
実際のところ、この私が推奨するランチの、ご飯がないバージョンもやってみましたが、慣れてくると、空腹感というのはほとんど変わりませんでした。
さて、その次に来る、夕食なのですが、これは最近のダイエット理論では、昼食後6時間以内に食べるというような考えになっています。そして、夜8時にまでには完了しなければならないと。
これはなかなか難しいです。どうしても、お付き合いの酒席などがあれば、夜8時以降、全く食べないというわけには、行きません。酒も飲まないわけにはいきません。
ダイエットをしているからと言って、あまり食事に手をつけないというのも、つまらない奴だ、とか自分勝手な人間だと思われかねません。
そういう時は、ひたすら、サラダや、たんぱく質のものを好んでせっせと食べることです。
そして翌日の朝食を抜く。こちらがきわめて重要です。
夜の会食で食べて、その消化/吸収に充てている時間帯に、朝食をとってしまうことは、胃などの消化管に二重の負荷をかけるだけではなく、エネルギーも過剰摂取になってしまうということです。太るうえに、体力を奪われるというわけです。これで朝から平日は仕事をバリバリ、休日はゴルフで良いプレーを期待することは難しいです。
Healthcare Secretでは、ある意味常識とされる健康・医療に関する固定観念を斬っていきますが、朝食至上主義への疑問は健康法を考えるうえでの非常に大きなテーマだと思っています。
3食規則正しく、主食(炭水化物)を中心にバランスよく、が違うのではないのかと言うことです。
私は朝食を抜き、昼以降を野菜3、タンパク質2、炭水化物1のバランスでやってみましたが、体重が減ったうえで、もともとお腹を壊しやすい体質だったのが治り、さらには午前中の(仕事/遊びの)パフォーマンスも上がりました。
とにかくお腹の壊しやすさは、大変なもので、通勤電車を降りてトイレに駆け込む、ゴルフ場でもひどいことになったこともあります。これが、朝食を抜いて、1日2食にして、野菜を増やしただけで、治ってしまったのです。
持病の逆流性食道炎もよくなり、タケプロンという薬にお世話になることも、減りました。
それも、数日間で見られる体調の変化として、あらわれました。
一日3食、とは何なのでしょうか?
朝食は食べた方が良いのか?
さて、朝食をとるべきか否か。
先日も医療機関の忘年会で、消化器内科の専門の先生に、私は「ダイエットの要諦は朝食をとらないことだと思います」と話したところ、
「朝食は取った方が良い、私は必ずとりますよ」とのことでした。
その先生は、週末は20キロを超えるウオーキングをされて、2年間で大幅なダイエットに成功された方です。
朝食をとるべき論として、
・朝たくさん食べても太らない
・朝エネルギーを入れないと、とにかくお腹がすいて集中力が出ない
・昼や夜に食べ過ぎて結果太る
という論が多いと思います。
私は、朝食は取らない方が良いと思っています。
同じカロリー数としても、朝、少しでも炭水化物を入れると、ダイエット効果が落ちてしまうと感じてしまいます。
同時に、実際に、朝を食べない方が、頭がさえるという感覚があります。
以前は、大きな意思決定を伴うような会議体や、あるいは、重要なビジネス・プレゼンテーションが控えているような場合は、食事をとり、エネルギーを入れた方が、良いのではないかと、追い込まれた精神状態のときは、とにかく糖分を、という気分になりました。
しかし、実際、腹に何も入っていない方が、午前中のパフォーマンスが上がる気がします。
プレゼンテーションなどは、朝、食べていない方が、よどみなく、冷静に、行うことができると感じています。
また、ゴルフも、朝食べない方が、最初のハーフラウンドのスコアが良いという傾向が明らかに、なってきました。
以前は、陳清波という往年のレジェンドゴルファーが、アメリカに遠征した際には、朝からステーキを食べる、という伝説にふれ、朝は肉を食べる方が、ゴルフの調子が良くなると思っていました。
しかし、実際は、食べない方がスコアが良いのです。これまでは、午前のハーフが悪く、午後それを取り返す流れでした。それが、朝を食べないと、午前中から、スコアがまとまることがわかってきました。
むしろ、昼食後の方が、スコアが悪くなることが、増えてきました。
午後1時から、重要なプレゼンテーションのある日。
私は、朝食を抜いていました。
しかし、直前にやはり、エネルギー不足になったらどうしよう、かと、ふと不安になり、
デニッシュバー | 展開ブランド | マーメイドベーカリーパートナーズ MERMAID BAKERY PARTNERS
デニッシュバーという、異様にエネルギー効率の高そうなものを、買って、食べてしまいました。
その結果は、、、
食べた直後から、汗が吹き出してしましました。
だるさを感じ、集中力も切れてしまいました。
理由は、二つ考えられます。
一つは、消化のために、血流が消化管に集中し、脳にはまわらなくなったこと。
二つは、急激な血糖値の上昇を抑えるために、インスリンが大量に分泌され、逆に、低血糖状態になること。
良く、昼食後に眠くなるというのは、この2点が影響していると言われます。
そういう症状だった気がします。
すなわち、勝負のかかったビジネス・ミーティングの前には、食事をしてはいけないということなのです。
ゴルフで朝を抜いた方が調子が良いというのもそういうことかもしれません。
最近のダイエット理論について2
いきなり3冊紹介しました。
本の購入を勧めているわけでは、もちろんありません。
最近のダイエット理論の中で秀逸なものと評価しているものです。
一冊一冊ごと読むと矛盾点が出てくるので、まとめて整理してみますと、
・朝食は食べない
・一日一食が理想だが、二食にする
・前の夕食から次の昼食まで、16時間あける
ということが基本になっています。
これを医師を含めて、他人に話すと、朝食を抜くなどありえない。
朝は低血糖で倒れる。朝を抜いたら、仕事にならない。
という答えが返ってきます。
昔なら、朝のフルーツは金、とか、夕食は抜くべきだが朝食は食べるべき。
朝ごはんならいくら食べても大丈夫、等、朝食を一番大切にすべきという健康法が常識とされてきました。
また、食事は一日三食規則正しく、バランスよく食べるべき、等、管理栄養士の誰に聞いても回答は同じです。
私のようなヘルスケア業界に身を置くものであっても、一日三食論は極めて強い神話となっています。
しかし一方で、一流のアスリートは朝食をとらないなど新しい考え方が出てきています。朝は前日にとった食事の消化・排出に専念すべきであり新しい食べ物を体内に入れてはいけないと。
また、人間は飢餓状態になるとサーチュイン遺伝子と言う長寿遺伝子が作動し、身体が活性化するのだと。だから空腹の方が人間は頭がさえ、バイタリティも上がるのだと。若々しくなると。
夜の会食の多いビジネスマンの中でも、朝を食べると太るから、と言って朝を抜く人が多いです。
朝ごはんを(たくさん)食べないといけないという人の多くが、朝食べないと空腹度合いが強くなり、昼を食べすぎる。と指摘します。結果的に太ると。
エネルギー代謝効率が、一日の食事数を減らすと、悪くなる(食事回数が減ると、エネルギーを蓄える力が強くなる)という説もあります。
とにかく、朝を食べないと体が持たないということは多く言われます。
実際に、健康診断の時に、空腹時血糖や脂質代謝を調べるために、また人間ドックの内視鏡を行う際には、前日夕食後から食止めとなり、検査開始時刻が遅くなると空腹のためにストレスをため込み、医療機関でクレームをつける方も多くいます。
はたして、朝食は絶対に必要なのか、それとも、取るべきではないのか。
最近のダイエット理論を考えるうえで、いきなり重要なテーマです。